着物の着付けは簡単?着物の種類による着付のポイントや、一人でも簡単にできる着付けの方法などを解説
現代で着物(和服)と呼ばれて結婚式で着用されるものにも色々な種類があります。もともとはごく庶民的な服装だったはずなのに歴史の中で格調の高いものというイメージが定着して一人では着用できなくなってしまったもの(それゆえにありがたみがある)や、逆にそれを現代の技術で外見を損なわずにごく簡単に着付けができるように改良した和服など、バリエーションは様々です。「着付師」という専門職が成り立つくらいですので、着るのが容易なものばかりではありませんが、ウェディングやお呼ばれで和装を検討している方に向けて、今回は「着物の着付け」についてご紹介します。
着物の着付け
着物の種類によって、着付の方法は異なります。振袖
現代で振袖と呼ばれる和服が生まれた時期は江戸時代とされており、未婚か既婚かに関係なく、若い女性用の和服でした。さらに遡ると起源は鎌倉時代頃、子供用の小袖であると言われていて、元々は男女の区別なく着用し、また色や柄についても男女用の区別はなかったという驚きの歴史があります。
もともとはごく一般的な和服だったので、わざわざ着付けのためにどなたかが立ち会わないとならないといった大がかりな服ではなかったはずなのですが、江戸時代に武家階級の人達が花嫁の婚礼用の衣装として用いていたこと、それに続いて明治時代に貴族の方々が好んでいたことから、格式の高い服装というイメージが定着したようです。
その流れをくむ現代の礼装としての振袖は、一人で着用するのはかなり難しい(特に帯を結ぶ作業。一人で着付ける場合には物理的に不可能な結び方が存在します。)と言われており、だからこそ和服のレンタルを事業として展開している業者さんがオプションとして提供していたり、美容院が着付けを有償でサービスとして行っています。
この点、上着とスカート部分を分離して着用する二部式という着物も出てきています。着付けが一人で可能でとても助かるもののはずが、襦袢や浴衣についてはこのタイプのものがあるものの、振袖についてはこの形は全くと言って良いほどに普及していません。
やはり、結婚式のような特別なイベントで着るものというのは、「誰かに有償で手伝って貰って」着るという特別なプロセスがセットになっていないと、経験としての面白味やありがたみが薄れてしまうのかもしれません。
着付師を目指している、といった方以外は非日常感を楽しむといった具合で着付けのサービスを利用した方がよいでしょう。
色打掛
上述の振袖の場合には帯の結び方を限定すれば一人で着付けることが不可能ではなかったのですが、色打掛の場合には着付けの下準備として「打掛」と「掛下」のそれぞれに衿閉じ(えりとじ)という専門の訓練を受けた方の裁縫の作業が必要になるため、一人での着付けというのはほぼ不可能に近くなります。 着る本人とは別の職人さんがその人のために特別な作業を施す、だからこそ決して簡単ではなく手間暇が掛かるのですが、そこに伝統工芸品としての美しさも出てくる、ということですね。
白無垢
こちらはまたさらに着付けの難易度が上がります。長着にも打掛にも大量の「ふき」が入っているために非常に重たく、さらに白無垢の場合には角隠しなどの重ための飾りが頭に最初に乗るため、これを付けた状態で重い白無垢を一人で、それも左右対称・綺麗に着込むというのは無理で、複数人数のアシストが必須です。
十二単
なんと十二単は前面の着付け担当が一人、後面の着付け担当が二人という合計3人体制で着せるというのが定められており、この決まりにもあるとおり一人で着るものではありません。元々が使用人を多数抱えた平安貴族が、自らの家柄を誇示する目的でその豪華さを競うための礼装であったという経緯もあり、起源からして一人で着られるカジュアルなものではなかったのでしょう。
トイレと着崩れ
完璧に着付けても、トイレはどうする?
着付けをわざわざ業者さんに頼んだのに、トイレをどうするのかというところが不安要素として出てきます。手順としては、「左右の袖をまとめる」「裾を左右に分ける」「裾を腰まで捲りあげる(着物を筒状に裏返すような要領)」「捲った裾を腕で挟む」「便器に腰掛ける」「裾を戻す」の6ステップです。
自分で直せる着崩れ
衿元を直すには、左手をひだり側の身八口に入れ、そこから振袖の右側を軽く引っ張って衿を整えます。同時に、右手で衿からつながっているおはしょり部分を軽く引きます。帯が下がってしまった場合には、両手を帯の下に入れて、上側に強く持ち上げます(後ろ側が落ちた場合には、両手を後ろに回して下から持ち上げます。次に帯を両手で上から持ち、元々の高さにまで戻します。お尻部分がたるんでしまった場合には、おはしょりの中に両手を入れ、腰紐の上側にあるおはしょりを掴み、上方向に引きます。
着付けまとめ
着付けの簡単な着物というのは、襦袢か浴衣といった着物の中でもカジュアルなものまでであり、結婚式に参加する為に着るような振り袖や白無垢、ましては十二単といったものの着付は、やはり一筋縄ではいきませんね。 「自分で着る」のではなくわざわざ「着せて貰う」というプロセスが、一生に一度のウェディングという、非日常感を演出する1つの要素であると思いますので、着付自体も楽しんでみてください!