お雛祭りの定番、ひな人形。あの女雛様を見て将来は自分もこんな風なお嫁さんになりたいと憧れを抱いた女性も多いかと思われます。結婚式に用いられる和装の中でも、皇室の御用達とも言える十二単はひときわ荘厳さがあります。レンタル衣装を用いることで十二単を着用した結婚式は決して手の届かないものではなくなるので、一生に一度の晴れ舞台をコレで！というこだわりのあるかたは是非お読み下さい。

十二単の起源と歴史

時代は平安時代まで遡る

十二単の正式名称は、「五衣唐衣裳装束」（いつつぎぬからぎぬもしょうぞく）。この名称では長すぎて覚えづらいため、十二単という一般名称で呼ばれています。平安時代の10世紀頃から、成人女性の正装として用いられるようになりました。
もともと、この十二単という表現は宮中では用いられません。ではなぜこの名称になったかというと、「源平盛衰記」という書物の中で高貴な女性が着ていたこの「五衣唐衣裳装束」を指して、「12枚もの布を重ね着して」という意味で「藤がさねの十二単の御衣を召され」という表現をこの書物の筆者がしてしまったために、「十二単」という表現が広まって定着してしまったということです。

驚くべきその重量

十二単は全てを着込むとなんと20kgもの重量になります。ただしこれは最も寒い時期全ての布を着用した際の重さであり、現在の日本より平均気温が1℃ほど低かったと言われさらには暖房器具など皆無だった時代の防寒着として、適宜枚数を調整していたようです。ですので、十二単といっても必ずしも12枚の布を着込むというわけではなかったようです。
今の日本で、冬場に人が着ている服の総重量が平均1.5kgと言われているので、その10倍以上の重さのものを身につけていた訳ですから、日常生活の身動きにはかなり制約が出たのではないかと思われます。

略式の十二単

十二単と言われていますが、実際に物理的に布を12枚着用しているわけではありません。着付けの順番は、小袖→長袴→単衣→五衣→打衣→表着→唐衣→裳、で合計8種類、途中の「五衣」が、5枚重ね着をするような名称ですが、実際には5枚重ねたように見せる比翼仕立ての一揃いのものです。
上記が、正式な十二単です。着付けと着用する本人の負担を軽減するための略式の十二単というのも存在し、これについては重量は5kg～10kgと、大幅に抑えることができるのですが、一生に一度の晴れ舞台ではやはり本物にこだわりたいでしょう。略式の十二単は主に「体験用の」ものとして活用されているようです。

十二単を選ぶ理由

皇族御用達の荘厳さ

十二単を一般社会で見かけることはほぼありませんが、皇室の儀式ではいまでも十二単の伝統が受け継がれています。もちろん、直近の昭和→平成の御大礼（新しい天皇の即位が行われ、新しい年号が始まる際の一連の儀式）でも着用されており、次の新しい年号が始まる際にも、同様に十二単が用いられることでしょう。
もともとは皇族の方々や、神道の関係者のみが着る特別な衣装であったため（現在では誰がどのような服装をしようと自由です）、その神秘性も相まって、女性の和装の最高のものとされています。

雛壇の憧れ

雛壇のおひな様を見て、いつか私もあんな可愛い服を着てみたい、と思った女性は多いはず。現代でも、お孫さん、娘さんの為にと購入されるひな人形は、とても喜ばれるようです。現代の雛壇はより幼い子供にも楽しんで貰えるように、女児向けの着せ替え人形玩具のような顔にアレンジされたものや、オルゴールの搭載されたものなどが登場しており、より長く親しみ、記憶に残るような工夫が凝らされています。
女性が大人になったときの1つの普遍的な理想像として、おひな様があること、そしてこれからもそうであることは間違いありません。

十二単の購入とレンタル

購入とレンタルそれぞれのメリット・デメリット

皇族の方々が着るような本物の、伝統的な材料と製法で作られたものは価格が非常に高く、到底、一般の人々の手が届くような代物ではありません。また、染料や生地を調達しやすく廉価なもので代替したものであっても西欧型のドレスと比較してもかなり高価で、なかなか個人で購入ということは難しいようです。さらに、このような高級な衣服となると、保管も大変です。
完璧な保存状態を保てば将来、文化財などの形で骨董的な価値が出る可能性があるという以外におそらく購入のメリットはなさそうです。
逆にレンタルであれば、カップル（新婦用の十二単と新郎用の束帯）向けに常識的な価格帯のものが存在します。十二単に関しては、価格でレンタルの一択となりそうです。

購入とレンタルの相場

皇室レベルの本物の購入の場合には億単位、現代の製法と廉価な材料に置き換えたものであってもオーダーメイドで、見積を出してもらって数百万円から、というのが相場のようです。 レンタルであれば、30万円～50万円といったレンジで、着付けや配送までをパッケージにしたプランが沢山存在します。

まとめ

十二単は、結婚式に選ぶ衣装としては間違いなく最高級品の部類です。一般の人々にとってはレンタルの一択になりそうですが、それはドレスでもほぼ事情は同じ。十二単を選ぶために衣装代が数十万円、プラスされてしまう可能性は大ですが、一生に一度の結婚の機会に、最高の思い出を作るための選択肢の1つとしてご検討頂ければと思います。